
エネルギー利用合理化委員会(平成16年度の活動)
(1)蓄熱式ヒートポンプシステムの性能評価と有効性研究
蓄熱式ヒートポンプシステムの導入意義や技術開発動向及び普及実績を整理しました。また、晴海アイランド地区、幕張新都心ハイテク・ビジネス地区の熱供給施設に関する運転データに基づき、一次エネルギー消費量や単位熱量あたりのCO2排出量を実績値ベースで試算するとともに、全国の地域冷暖房データを用いて電気式地域冷暖房の省エネ性・環境性能を評価しました。これらの検討により、蓄熱式ヒートポンプシステムの省エネルギー性や省CO2性が著しく高いことを明らかにしました。更に、蓄熱式ヒートポンプシステムの普及に向けた課題と方策を整理しました。
(2)蓄電システムの性能評価と有効性研究
蓄電システムの導入意義や技術開発動向及び普及実績を整理した上で定置用蓄電技術と蓄電技術を利用した移動体(電気自動車)の導入効果に関して分析しました。更に、蓄電技術の普及による将来イメージを探りながら蓄電技術の普及に向けた課題を整理しました。
(3)高効率全電化住宅システムの性能評価と有効性研究
高効率全電化住宅のイメージと導入意義を整理しました。また、機器効率等の実測データを用いて、従来型住宅モデルと全電化住宅モデルの省エネルギー性、環境保全性、経済性を比較し、全電化住宅モデルがいずれの性能に関しても卓越していることを明らかにしました。更に、CO2冷媒ヒートポンプ給湯器の普及拡大による社会効果を試算した上で高効率全電化住宅システムの普及に向けた課題を整理しました。
(4)エネルギー・環境評価手法に関する研究
我が国で使用されている一次エネルギー換算及び環境評価(CO2換算)に関する実態や再生エネルギーの取り扱いに関して整理しました。また、地球温暖化問題の顕在化など、今後の社会状況を踏まえて一次エネルギー換算及び環境評価をどのように考えるべきかについて提案を行うとともに、エネルギー・環境評価に関する課題をまとめました。
(5)講演会
日時 | 平成17年3月22日(火) 13:30〜17:00 |
場所 | 大手町サンケイプラザ 会議室 |
@田中俊六(東海大学名誉教授) |
テーマ:21世紀における民生用エネルギーシステムのあり方 |
A伊庭健二(明星大学教授) |
テーマ:電力の貯蔵技術とNaS電池の運用技術 |
エネルギー利用合理化委員会(平成17年度の活動)
(1)エネルギー利用に関わる長期予測
世界規模でのエネルギー需要の長期的な見通し(2030〜2050年)を整理し、日本のエネルギー危機に対するエネルギー利用合理化の意義や重要性について検討しました。その上で、エネルギー供給サイドでは原子力と再生可能エネルギー、エネルギー利用サイドでは省エネ・防災・省CO2に配慮した都市型集合住宅、蓄熱システムを利用した都市開発、電気自動車を利用した交通システムの必要性を論じました。
(2)電化システムを利用した都市型住宅研究
防災型のまちづくりや都市再生において有効な電化システムを利用した防災型高層集合住宅に関する検討を行いました。また、モデルスタディによって防災型高層住宅の導入効果に関して@水の備蓄、A二次災害の防止、B快適・健康性、C省エネ性、D省CO2性、E省コスト性、などを明らかにするとともに、普及に向けた課題を整理しました。
(3)蓄熱システムを利用したまちづくり研究
我が国で最高水準のエネルギー効率を発揮する晴海アイランド熱供給施設の運転データに基づき、高効率熱源システムとしての「晴海トリトンモデル」を提案し、このモデルを新規開発や既成市街地に適用した場合の省エネルギー性やCO2削減効果を明らかにしました。更に、大規模多機能蓄熱槽(コミュニティタンク)の効果を整理するとともに、このモデルの社会的意義と普及促進策をまとめました。
(4)蓄電システムを利用したまちづくり研究
我が国における運輸部門のCO2排出状況を整理するとともに、近未来のエコカーとして注目される電気自動車の開発動向を既往知見や関係者ヒアリングなどにより整理しました。更に電気自動車の普及に向けた課題と展望をまとめました。
(5)シンポジウム
日時 | 平成17年12月2日(金) 12:30〜17:30 |
場所 | 晴海トリトンスクエア、日本建築センター晴海デザインセンター会議室 |
【第1部】見学会:省エネトップランナーの都市エネルギー施設見学 |
対象:晴海トリトン多機能型熱供給施設 |
【第2部】シンポジウム:サステイナブルタウンへの再生プログラム |
@開会挨拶 |
| 都市再生研究所理事長 | 上野公成 |
A基調講演 「居住系に求められる省エネルギー性能」 |
| 東京大学教授 | 坂本雄三 |
B事例報告 |
「業務系市街地再生に求められる省エネルギー性能 −晴海トリトン地区開発の事例報告−」 |
| 日建設計(株)設備設計部 設計長 | 岡垣 晃 |
Cパネルディスカッション |
「サステイナブルタウンへの再生プログラム−電化住宅普及に期待されるもの−」 |
パネラー | 千葉大学大学院教授 | 川瀬貴晴(司会) |
国土交通省住宅局住宅生産課長 | 高井憲司 |
(株)ベーシック 代表取締役 | 田原祐子 |
東京電力(株)執行役員 販売営業本部 副本部長 | 片倉百樹 |
大和ハウス工業(株)技術開発本部 取締役 商品開発部長 | 濱 隆 |
(株)長谷工コーポレーション 執行役員 事業部長 | 鹿倉克幸 |
エネルギー利用合理化委員会(平成18年度の活動)
(1)国家エネルギー戦略における「蓄エネルギーシステム」の位置づけの分析
新・国家エネルギー戦略を紹介し、蓄エネルギーが省エネルギーや新エネルギーの視点からどのように位置づけられるかを整理しました。特に、省エネルギー技術戦略において「時空を超えたエネルギー利用技術」として取り上げられている蓄エネルギーシステムの位置づけに関しては、関連技術の導入シナリオやロードマップを紹介しました。また、米国、EU、ドイツ、フランスなど主要国のエネルギー戦略の概要を整理するとともに、原子力エネルギー再考に関する国際的な動向についてまとめました。
(2)蓄エネルギーのインフラ化に向けた政策提言
我が国のまちづくり政策における今日的課題や今後の方向をまとめた上で、エネルギー・環境問題を巡る内外の状況を整理しました。また、エネルギー・環境政策のあり方に関して、今すぐ利用できるエネルギー技術の積極的活用の重要性を強調するとともに、国際社会への我が国による省エネルギー技術の貢献、特にヒートポンプ技術への期待などを論じました。蓄エネルギーシステム(蓄熱・蓄電)による貢献の可能性に関しては、実測データに基づいてその有効性を明確にしました。更に、蓄熱システムの防災水利や災害時生活用水としての活用に係る現状や課題を整理しました。最後に、省エネルギー、省CO2、都市防災などに貢献する蓄エネルギーシステムをどのように普及促進するか、またこれらのシステムを通じた国際貢献をいかに展開するか、などについて具体的な提言を行いました。
(3)蓄エネルギーの普及促進
平成16年度から18年度に至る3カ年の研究をもとに、エネルギー問題の実態、エネルギー利用合理化の必要性、蓄エネルギーの効果などについて整理し、研究成果を広く一般の方に理解いただけるよう読みやすい内容にまとめました。具体的には、「暮らしを変える3つの真実と4つのヒント −まちづくりナビゲーション−」と題した小冊子を作成しました。また、これを研究所から関係機関に配布して研究成果の広範な訴求に努めました。
(4)セミナー
日時 | 平成18年11月20日(月)13:30〜16:30 |
場所 | 日本建築学会 建築会館ホール |
テーマ | 「都市再生・地球と人にやさしいまちづくりとは −環境・省エネルギー・防災に配慮したまちづくり−」 |
プログラム |
@開会挨拶 |
都市再生研究所理事長 | 上野公成 |
A基調講演 「日本・地域、まちを取り巻くエネルギー環境問題の動向」 |
三菱総合研究所 参与 | 吉田康之 |
B講演その1「21世紀 まちづくりの課題」 |
明治大学大学院教授・元東京都副知事 | 青山やすし |
C講演その2「東京の防災まちづくり」 |
早稲田大学特命教授 | 伊藤 滋 |
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